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私が2006年の夏に出演した『AGORA II』という、大規模でユニークな作品をご紹介します。

会場は、廃墟化した巨大な野外プール!
アート好きの若者に人気のエリア、ブルックリンのウィリアムズバーグにある、水の入ってない野外プールなのですが、まるで遺跡みたいに重厚で個性的な様相です。

総勢80名のパフォーマーが、ダンスはもちろん、楽器を演奏したり、マラソンをしたり、全裸になったり・・・。自転車、テレビ、トランクなど、意外なプロップも数多く使用。パフォーマーはダンサーを始め、俳優、ミュージシャン、スタントマン、プロのフラフープ回しまで様々なバックグラウンドを持つアーティスト達が参加し、10歳から60歳と幅広い年齢層も驚きの一つでした。

Agora IIで面白い点は、お客さんが飛び入りで参加可能なパフォーマンス形態。チケットを購入する時点で「参加席」か「鑑賞席」かを選択し、参加型を選んだ人はよりパフォーマーと近い席に座り、私達パフォーマーがお客さんを作品内へと巻き込んでいきます。お客さんからどんな反応がくるか、毎回ドキドキでした。しかしラストシーンでは、鑑賞席に座っているお客さんも自発的にプールに下りてきて、会場の一体感は最高潮。このような不確定要素が、作品を毎日違った形に変化させていきました。

稽古期間は3ヶ月間。真夏の炎天下にさらされた中での厳しいリハーサルです。体調不良やケガなどで脱落するパフォーマーも続出しました。

リハーサルの初段階では、自分で作り出した新しい動作・振付けを、ひたすらリピートします。そして、気に入った他のパフォーマーの動きをコピーします。すると、知らないうちに、誰かが作った一つのムーブメントが徐々に全体に広がっていくのです。この感染により、最終的には全てが一つになるのですが、そこで再び分裂を起こします。この一連の流れを繰り返していきます。

このコピーアクションには一つのテーマが与えられていました。それは、「ネガティブな要素を動作に含める」こと。例えば、あるパフォーマーは、空に触れたくてジャンプを繰り返していました。指を空に向け何度もその動作を試みますが、いくら飛んでも空にタッチすることは出来ません。この場合、叶わぬ願いがその要素に当たります。

また振付師のノエミ・ラ・フランスは、本番までどんどん振付けを変化させていきました。公演期間中ですら変わっていきます。覚える作業は鬼のように大変でしたが、妥協を許さない職人的な頑固さが素敵でした。

ハードな練習を超えてのパフォーマンスは、言葉にならない達成感がありました。様々なジャンルのパフォーマーたちとの出逢い、オーディエンスとの一体感、一つの作品を共に作り上げたという経験は、本当に貴重です。

次回は、この作品で築いた人脈で私自身がプロデュースした、コンテンポラリーダンス公演「走るチワワ」のウラ話をお届けします。

       
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